ディマティーニの真実の感謝

 

ジョン・F・ディマティーニ 『世界はバランスでできている!』
フォレスト出版 2011年

最近、流行っているディマティーニメソッド。どんなもんかいなと本を借りて読んでみた。

たいてい、この手の成功哲学というか自己啓発本は突っ込みどころ満載なのだが、この本は、あいにくとっても楽しく読めてしまった。さすがだね。

ただ、ディマティーニ氏の言わんとするところは、すでに2千年以上前に某国の元王子が菩提樹の下で感得した哲学と同じと見た。

たとえば、人間をとりまくこの世界は、まるごとひとつの世界で、自律的なホメオスタシス的性質でもって絶妙のバランスの上に立っている。変化というのは形が変わっただけ、世界の要素は変わらない。あちらが凹めばこちらが凸るというふうに、対立するかに見える二者はじつは相補関係にある。

一般的な成功哲学自己啓発では、ポジティブシンキング(プラス思考)でなければならないと教える。物事のプラス面を認識して、プラスの言葉だけを発せよと。これは、プラスという一面だけに囚われた考えであり、実際の人生(プラスとマイナスの両面がある)とはかけ離れている。

ディマティーニ氏は、こうした一面だけに囚われた思考を「イリュージョン(幻想)」と呼ぶ。幻想とは決して現実にはならないことを指すので、幻想を追い求めていると、いつまでたってもそれが現実にならないため、ストレスを感じたり不安や不満に陥りやすくなったりする。

例えば、結婚を毎日仲良く笑って幸せに暮らすことを理想としているなら、それは決して現実にはならない。そのため、結婚生活に不満ばかりが生じてしまう。あるいは、毎日健康な生活を送りたいと思っても、病気や怪我に悩まされる。プラスばかりの生活など我々の人生にあったためしはない。それは誰でも知っているはずだ。

なぜプラスばかりでいられないのか。それは、物事は必ずプラスとマイナスの両面を持っているから。我々の生活は常にプラスとマイナスの両極に引っぱられている。

重要なのは、こうした物事のプラス面とマイナス面の両方を認め、常に2つがバランスして中和が保たれているのを認識すること。(仏陀のいう中道)それができたとき、自然と感謝の心がわき起こってくる。これが、ディマティーニ氏が提唱する「真実の感謝」だ。

つまり、普通、感謝(昨今はやりの「ありがとう」)というと、自分の思い通りになった時や自分の欲するものをもらった時など、自分にとって少しでもメリットのある出来事に対して行うものだが、彼のいう「真実の感謝」とは、マイナスと見えること(病気、借金、災難、別離etc)に対しても、自分に及ぼす深い影響を考え、必要なものだと認識することで感謝の気持ちを持つことを意味している。そして、この感謝の気持ちを持った瞬間から、マイナスだった物事はぐんぐんプラスのほうへ動いていく。

東洋では古来「禍福は糾える縄の如し by『史記』」という言葉があり、わざわざアメリカ人の説教を聞くまでもなくこんなことは分かっているはずだが、仏陀の哲学にしても史記の言葉にしても、その後のフォローに欠けるというか、我々には現実への適用の仕方が分からない。いや、適用となると修業系になってしまうため、カネ儲けにも真正面から取り組むディマティーニメソッドの説得力には負けてしまうのだ。哀しいけど…

まあそんなこんなでぐんぐん勢力拡大中のディマティーニさん。セミナー参加費21万って、儲けも凄そうですなあ。画像を拝見するとユダヤ系?な感じで(いやどうなんでしょ?)、やっぱりねえさすがだねえ…と思った次第ですわ。


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