チベットの聖者ミラレパ

エヴァ・ヴァン・ダム著 中沢新一訳・解説『チベットの聖者ミラレパ』法蔵館 1994年
おおえまさのり訳『チベットの偉大なヨギーミラレパ』めるくまーる 1998年


この本は、なんと漫画です

最近、夢の本を読んでいてミラレパに行きあたった。ミラレパはチベットでは万人の尊崇を集める大人気の聖者であるらしい。日本で言えば聖徳太子空海か。いや、きっとインパクトと影響力はそれ以上。

さて、そのミラレパだが、西暦1052年チベット南部の名家に生まれるも、父の死後、家財産を親戚に乗っ取られ、母と妹ともども悲惨な生活を強いられることとなる。

親戚に激しい憎悪を抱く母の悲願を受けて、ミラレパは黒魔術を学び、修得した呪法によって叔父一家や虐待に加わった村人たち35人を呪殺する。


呪法で召喚した神々。この漫画の中で最もインパクトある画。

さらに、雹嵐を起こす呪法によって、村のすべての農作物を壊滅させてしまう。


呪法で嵐を起こすミラレパ


このような経緯で、ミラレパは黒魔術によって巨大な悪のカルマを積んでしまう。

その後、自らの悪業の報いに恐れを抱き、真の仏法を求めるようになった。
紆余曲折を経て、運命的な師マルパ・ロツァワと出会い、これまた運命的な艱難辛苦を経て、ついに奥義を伝授される。

その後、すべての教えを授かってマルパの元を離れたミラレパは、師の訓戒に従って、人里離れた山中の洞窟で、長期にわたる孤独な苦行に励む。食べ物が尽きてからは、周囲に自生するイラクサの水煮のみを食べて瞑想修行を続けたため、体中が緑色になり、痩せ衰えて幽霊のような風貌になったという。


リアルなグリーンのイラクサミラレパ。



空を飛ぶミラレパ。(ちょっと大友克洋のタッチに似てる?)



ミラレパの入寂。さまざまな奇瑞を表したという。


さて、一番びっくりしたのは、ミラレパの黒魔術でも修業でも悟りでもなく、この漫画を描いたエヴァさんのこと。

日本では、学研シリーズをはじめとして、偉人の伝記はさまざまにマンガ化されている。子ども向けだけでなく、手塚治虫の『ブッダ』のような大人向けの漫画もあるし、漫画は成熟した大人の文化として認知されている。が、エヴァさんはオランダ人。欧米人が、子ども向けでない、こんな内容の漫画を描こうと思ったことに、大きな驚きを感じた。また、これを翻訳出版してくれた中沢新一さんもGJ! たくさんの幸運が複合的に重なって物事は成就する。

「此があれば彼があり、此がなければ彼がない、此が生ずれば彼が生じ、此が滅すれば彼が滅す」
縁起説を地でいってます。





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