白隠の内観法


白隠は江戸中期の禅僧で、臨済宗中興の祖と言われる。

白隠自画像(三島市HPより)

先月、九博で見た観世音菩薩の画に感動して、白隠のことを調べているうちに、彼の提唱した内観法というのが、不老長寿の秘訣ともいうべき極めて効果的な健康法で、その考えは、貝原益軒の『養生訓』等にも受け継がれ、伝統医学に少なからぬ影響を与えているらしいことを知った。晩年の著作『夜船閑話(やせんかんな)』の中に、その内観法が書かれているので、ご紹介したい。

話の経緯はこうだ。
求道に燃える青年僧白隠は、26歳の時、禅修業をやりすぎて神経衰弱に陥ってしまった。どんな名医も治せず、百薬も効果なし。そんな時、京都北白川の山奥に白幽という仙人がいることを教えられる。藁にもすがる思いで白隠は白幽先生を訪ねる。

先生が言うには、白隠の今の状態は心火逆上の状態にある。こうなると肺も腎臓も疲れ果て、五臓六腑すべて衰え乱れ、どんな薬も名医も治すことはできない。そもそも、心火は常に下に充実させなければいけない。気を下部に充実することこそ生命を養う要であると。そうして、心火を下げる秘法を伝授した。

その秘法内観法のやり方はこうだ。
『夜船閑話』の序文によると、まず、ぐっすりひと眠りして目を覚ます。
仰臥で半覚半睡状態のまま、長く足を伸ばし、強く踏みそろえる。
そのポーズのまま、気をヘソ下の下腹(臍下丹田)、腰と足、土踏まずに充実させる。
呼吸は、もちろん、丹田呼吸。
そのうえで、観想する。
(1)我がこの気海丹田、腰脚足心は、すべて自分の先天の本性である。
(2)我がこの気海丹田は、すべて自分の本来の故郷である。
(3)我がこの気海丹田は、すべて自分の心であり、その心は即ち浄土である。
(4)我がこの気海丹田は、すべて自分の身の中にある弥陀である。

このように繰り返して観想すると、体全体の元気が脚、腰、土踏まずの間に充足し、臍下丹田に力が満ち溢れる。

現代では、この内観法を実行すると、いわゆる冷え性は勿論のこと、呼吸器病、神経症、不眠、頭痛などによく効くといわれている。(さすがに不老不死までは無理でしょうが…)

で、さっそくやってみた。(^^ゞ

私の場合、上記のような観想で気を動かすより、具体的な動作やイメージを使ったほうがやりやすいので、マイスタイルで。
まず、両手を重ねて下丹田に置き、意識を集中して気を集める。(気が集まったら、楽な姿勢に戻す) 集めた気を下におろすために、大きな金色の玉をイメージした。その玉から二つの玉をこしらえて、両脚を通して土踏まずまで下ろしていく。下りたら、下丹田と土踏まずに再度集中してそのままキープ。すると、だんだん足の裏が熱〜くなってきた。おお、こりゃ冷え対策にはもってこいじゃあるまいか!

このあと、白隠つながりで帯津良一白隠禅師の気功健康法』も読んでみた。
医師の帯津氏は気功家としても高名だが、この著書の中で、気功の三要素は調身・調息・調心であるが、白隠の内観法はこれをすべて満たした素晴らしい功法だと絶賛している。

また、丹田呼吸とは単なる腹式呼吸ではないと述べているのが、私には目から鱗だった。

つまり、丹田は閉鎖された空間ではなく外界の空間と繋がっており、外界の空間の集約されたものが虚空である。この虚空と内なる生命場の代表たる丹田とが交流して初めて丹田呼吸が成立する。呼気で丹田の気(ソウル)を虚空に伝え、吸気で虚空の気(スピリット)を丹田に呼び込む。

丹田呼吸とはもともとこのようにスピリチュアルなものであり、内なる生命場のエネルギーを高め続け、死んだのち虚空と一体になるのが、気功が目指すところの養生である。病気を防いだり疾病を回復したりするのは決して気功本来の目的ではなく付加価値のひとつなのだと、白隠の内観法に関連して述べておられる。

どどのつまり、いたずらに馬齢を重ねるだけの「不老長寿」は意味がないということだ。究極の目的は虚空と一体となること(解脱?)。それができれば寿命の長短は問題ではないということか。
馬齢を重ねているだけの者には耳の痛い話です。


※関連過去記事
九博「細川家の至宝」展



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