ホ・オポノポノ

イハレアカラ・ヒューレン『みんなが幸せになるホ・オポノポノ』2008年 徳間書店 
マックス・フリーダム・ロング『原典 ホ・オポノポノ』2010年 ビオ・マガジン

近年、地味に大はやりのハワイアン・ヒーリング、ホ・オポノポノ。
ハワイとは無縁な私もちょっと覗いてみることにした。で、読んだ本が上記の2冊。

自己啓発メソッドとして流行中のホ・オポノポノは、イハレアカラ・ヒューレンによって広められている。彼によれば「ありがとう」「ごめんなさい」「許してください」「愛しています」という4つの言葉で、自分の潜在意識の中の記憶をクリーニングし続けることによって、望む未来を手に入れられるという。ヒューレンの『みんなが幸せになるホ・オポノポノ』には、この4つの言葉の他に「アイスブルー」という言葉やブルーソーラーウォーター、「Ceeport」のシールなど、すぐ試したくなるような楽しくて手軽な方法が列挙されている。わくわく。

が、読み終わって冷静に振り返ってみると、ちょっと待てよ…と。

いくら南洋のパラダイスな島とはいえ、秘法がそんな簡単なワケないやろと。
いくらなんでもハワイの先住民に失礼じゃまいか。

そんなことからマックス・フリーダム・ロングの『原典 ホ・オポノポノ』も読んでみた。
この本の原書の出版はなんと1948年だそうで、ハワイのシャーマニズム研究の古典が、近年のホ・オポノポノ・ブームで遂に邦訳されたらしい。

この本では、ハワイの伝統的な癒しの技法フナの基本知識が紹介されている。
「フナ」とは、代々、口伝で受け継がれる呪術の秘法を意味している。フナの継承者をカフナという。しかし、アメリカに占領されて以降、伝統的呪術が厳しく禁止され、フナを受け継ぐカフナの系統が絶滅の危機に瀕したようだ。1980年頃、フナ研究所のメンバーだったモナ・シメオナ師らが共同開発して命名したのが「ホ・オポノポノ」。最後のカフナであるシメオナ師が、これだけは残さなければということでまとめあげたようだ。これは、一対一、家族対家族で、祈りや告白、話し合い、許しを中心として行われる癒しの技法だ。

では、フナとホ・オポノポノの関係はどうみればいいのか。シメオナ師の開発した元祖ホ・オポノポノはフナの構成要素の一部らしい。しかし、昨今、大はやりの略式ホ・オポノポノは、今のフナ研究所代表ヴィンス・ヴィンゴ氏によると、全部で12段階ある上級ホ・オポノポノの一部にすぎないとのこと。『原典 ホ・オポノポノ』の本には12段階の簡単な説明も書かれているが、更に詳細な説明は、続編『カフナの秘法 実践篇』で述べられているようだ。(こちらは未読ね)

さて、ホ・オポノポノについて、ウィキペディアでは次のように説明されている。
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この実践法は、自らが全責任を負う思想に則っており、モナは「ある人が人生の一切について責任を取るとは、彼が見、聞き、味わい、触れるすべてのことの責任を取ることである。そしてあらゆる経験は、彼の人生に存在するが故に、その人の責任が伴う」と教えた。
また「全責任とは、万物が人間の内面からの投影として存在し、問題は外部世界の現実にあるのではなく、我々自身と共にあり、現実を変えるためには、我々はまず自らを変えねばならない」と説いた。
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つまり、自分が知覚する範囲のことすべては自分の責任だということ。あいつが悪い、会社が悪い、政治が悪い、運が悪いなんて言っちゃおれんわけですわ。で、現実を変えたければ、まず自分を変えなさいと。自分を変えるためにどうするかというところで、略式ホ・オポノポノが登場する。

ホ・オポノポノでは、人間には三つの霊魂があると考える。

アウマクア(ハイセルフ)超意識
ウハネ(ミドルセルフ)顕在意識
ウニヒピリ(ロウセルフ)潜在意識

これら三者の関係が調和している時に、人は本来の状態になり、すべてが円滑に進む。
超意識は顕在意識に直接働きかけない。それは必ず潜在意識を通してメッセージを送る。
潜在意識に蓄積したマイナスエネルギーが、すべての障害の原因となる。
そこで、登場するのが潜在意識をクリーニング(清める)する4つの言葉。

ありがとう。Thank you.
ごめんなさい。I'm sorry.
許してください。Please forgive me.
愛してます。I love you.

ヒューレンは、四六時中これを唱えて潜在意識をクリーニングし続けなさいと言っている。
ひえ、四六時中…? 空海の虚空蔵求聞持法みたいに?
面白そうなのでやってみたいが、しかし、意外な落とし穴が…

『原典 ホ・オポノポノ』の訳者序文には、こんな例が挙がっている。
「30日間4つのフレーズを唱えていますが、良くなるどころか低下する一方です…」
英語の「I'm sorry」は「悲しい、残念」といったネガティブな感情が込められている言葉なので、これを頻繁に唱えていれば、マイナス効果を受ける人が出てくるのは当然。それは既に30年前に確認済みなのだそうだ。

別のサイトでこんな話も読んだ。
日本人にとっては「愛しています」という言葉が違和感をもたらしやすいらしい。親しい間柄では、同性間でも「I love you」を頻繁に言い合うアメリカ人と違って、一生のうちで正式プロポーズの時以外、口にすることもないようなフレーズを四六時中となえるのは、さすがに違和感ありまくりやろ。まるでヒトゴト、芝居の練習?と潜在意識が受けとるかもしれん。「許してください」というのも、確かに卑屈な感情をインプットしそうだ。鬱な人がやると厭世感極大しそう。

じゃあ、どうしろと?
ってことで、この本の続編『カフナの秘法 実践篇』では正式ホ・オポノポノのやり方が詳細に紹介されているらしいので、まずは、アマゾンでレビューを読んでみた。

ほほう、やはり4つの言葉を唱える略式ホ・オポノポノとはかなり違うようだ。ただ、「秘法」というだけあって、かなり専門的みたいで、誰でも手軽にやれるってもんじゃなさそう。魔術を究めたい人には楽しそうだけど。古代神道と陰陽道と密教を足して3で割ったような「秘法」が、一般人に実践できるワケないし。

そうか。だから略式ホ・オポノポノを開発したんだ。4つの言葉を唱えるだけでOKと言われれば、誰だってやりたくなるもんね。効果があれば、それはそれで嬉しいし。





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